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大阪市福祉教育語りの会 坪岡照雄 (1)
                                

                                   2009年3月20日
塀の中で講義をすると・・

20歳〜30歳の方が収容されている少年刑務所の中で、あるきっかけから2級ヘルパー講座の講師を引き受けました。どんな所かと、不安と期待ではじめて行った刑務所は、レンガ造りのキッチリした塀にモダンな感じの入り口があり、警備員が2名いました。入り口で番号札のバッチをもらいます。私は黄色、たいていの方が赤色。多分、面会希望者か慰問希望者か。中に入ると、綺麗な広い庭、真正面にレンガ造りの古い建物が見えます。その場所だけを見ていると、言わなければ誰も刑務所なんて思わないでしょう。

入って直ぐ右に面会希望者の待合場所?が有り、その前に散髪屋、その前に事務所です。左側には公用車の駐車スペースで、まん前の建物の中は、受刑者が色んな活動を行なっている所です。取りあえずは事務所のほうで挨拶し、奥で待機。時間が来て、いよいよ塀の中に入ります。鉄で出来た結構大きな扉に小さな扉もついていて、鍵を開けて看守の方と中に入っていきます。左の建物が多分受刑者が寝泊りしている所かと思いながら行くと、まず食堂があります。ここは看守や職員等が食事をするところです。

ずっと奥のほうで作業をしているのが見え、さらに奥のヘルパー課と言う所で鍵を開けてもらい、看守の方と入ります。受刑者らしい方がパソコン等を使っていて、その奥の小さな部屋がヘルパーの講座の場所のようです。私は4教科の約10時間が受け持ちです。受講する方は、今回は3名で、以前に受けた方が1人私の補助となり、みんなで4名でした。最高8名までしか受講が出来ないようで、看守などがすべての方を把握できる人数にしてあるようです。受講は強制ではなく、自分の意思で決めるという事です。

いざ講義ですがとても緊張します。
何からどのように話していったらいいのか、受講される方がどのような方なのか、今までやってきた講義のような形でよいのか? 不安と緊張の中、取りあえずは雰囲気作りからと思い、福祉に関係ある話から入りました。真面目な真剣なまなざしに、普段とは異なって冗談も浮かびませんでした。「福祉の意味分かりますか?」という私の質問に戸惑っているようす。バリアフリーとかノーマライゼーションとか障害者にたいして色んな事をいっぱい掲げる人いるよね、そんなことではなく、一言でいうと・・・ふくしとは、
 ふ→ふだんの
 く→くらしを
 し→しあわせに  ですね」

健康な方も障がいのある方も気持ちは同じ、健康な方が障がいのある方を補助する、助けるというのではなく、今日一日幸せでありますように、今日一日無事に終りますように、考えも気持ちも同じ事・・・」と、こんな言葉で語ると結構うけたようでした。そこから本来の講義に入っていきました。視覚障害者の身体の状態の観察、ガイドヘルプの基本姿勢、狭い場所の歩行、階段の昇降、車への乗降の介助法、ホームヘルパーの役割と注意事項を話し、さらに実技演習を行ないました。

講義が終ると、なんだか胸が苦しく、辛くなってきました。受刑者は、どこに行くにも確認を取ってしか動けないし、とても規律正しく機敏に動いています。建物等にはキッチリ鍵が掛っているし、整列して声を掛けながら規則正しいリズムに合わして廊下を歩いているのです。皆がおとなしそうで、悪い事をしたと言うような印象はなく、逆に何故こんなとこにいるのかと思うほど柔らかい顔立ちの方ばかりでした。全体的に顔が色白なのが気になって心に残っています。

しかし、見方を変えれば、ここの生活も良いのではないかと、思うのです。私が体験し、見た中では、福祉施設で、虐待もあれば、トイレすら自由に行けず、オムツの枚数まで決まっていたり、男女かまわず芋の子を洗うようにお風呂に入れるような所もあるし、嚥下機能に障害が有り上手く食べられない高齢者の口の中に無理やり食事を入れたり。それならば、刑務所の中のほうが幸せなのではと考えてしまいました。
福祉ってなんなんだろうと・・・

「大阪市福祉教育語りの会」 坪岡照雄さんの目次   

 

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