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大阪市福祉教育語りの会 鈴木 昭二 (4)
                                

                                   2009年5月20日
地域でともに生きる

寝たきりの患者さんへ往診に行った帰り道のこと。急な坂道の一方通行を登ってくる車を左に交わしながら、私は、白杖を溝にガイドラインして下って行く。電柱を過ぎると、左壁に移動。そこには時には車が駐車されていることがある。今日はないのを確認。そこを過ぎると低い壁をガイドラインする。左に振った白杖は馬止めを捕らえた。馬止めの間隙を体をねじってするりと抜けると、用水路の上の道を歩く。5〜6メートル歩くと「ピッピッ」と音響信号の鳥の音。1回、2回、3回、と鳥の鳴き声の信号音を数えながら速足になる。右に曲がるとすぐ信号だ。だが、すでにその鳴き声は消えていた。渡ってきた人に「青ですか」と聞く。「渡れます」と答えてくれた。急いで信号を渡った。つい最近音響信号が敷設された。私にとっては、たいへん助かる。

さて、この患者さんは22歳の男子。出産時に早期胎盤剥離により難産で脳障害を起こし、数パーセントの生存しか望めないと医師から宣告されたこともある。いま、寝たきりの彼は、脊柱の側湾・運動神経麻痺など脳障害の後遺症を持っている。最近では、のどを切開し、気道と食堂を分離したために、言葉を発することはできない。元々言葉はしゃべることができなかったので、酸素ホワードを高め呼吸を楽にすることを選んだ、とお母さんはおっしゃる。

彼のマッサージの往診で週に3度通っている。お母さんは彼の好きなお風呂に毎日入れているのだが、私がマッサージを施術した日は、体がやわらかくなっていて狭いお風呂の入り口や浴室でも、世話をしやすいという。こんな言葉を聞く時《やりがい》を実感している。

近年視覚障害者の一人歩きに補助的な社会資源が増えてきたことを、うれしいと共に心強く感じている。欄干のない橋と言われる電車のプラットホームには、先端に平行して警告用点字タイルの敷設。公共施設へは点字タイルによる誘導。エレベーターでも音声ガイドをよく耳にする。ところが、機械や道具には限界がある。プラットホームに点字タイルを敷いても転落事故、電車との接触事故が減った訳ではない。音響信号でも早朝や夜など周囲の住民の騒音公害となり、音響の稼動時間を朝8時から夜8時までに制限しているところが多い。

実は、街で視覚障害者を見かけたら、「なにかお手伝いしましょうか」と声をかけてくれると、とてもありがたいことであり、一番安全で安心なのです。

「大阪市福祉教育語りの会」 鈴木昭二さんの目次   

 

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