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市民ライターのキモ 〜 その真実と技術
         2005年8月22日
                              

(19) 文章の導入部をどうするか
                                      吐山継彦
                                                
                               
▼“つかみ”はとても大切である。小説でも論文でもレポートでも、文章の導入部をどうするかはとても重要だ。最初の文とそのあとに続くいくつかの文については、何度も何度も推敲したほうがよい。お笑い芸で言うところのいわゆる“つかみ”である。読み手の興味を初手でグイッとあなたの文章に引き込むために、導入部はよくよく考えて、呻吟しながら文章を捻り出そう。

▼導入部が本当にうまいなあと思うのは夏目漱石だ。例えば『猫』。「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」『坊ちゃん』、「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る。」とりわけ『草枕』の出だしは秀逸である。「山路を登りながらかう考へた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。」こういう導入部は達人の技だから、真似をしようと思っても無理な相談である。

▼もちろん、導入部だけにこだわって後が続かなくてはどうしようもないから、とにかく書き始めて、書き継いで行くことが得策である。しかし、一旦ざっと書き終わって、推敲に移るとき、出だしの工夫は念には念を入れたいものである。多くの現代人は忙しすぎて、2〜3ページ読んでから全体を読むか読まないか決めるほどの余裕がない。

▼とにかく、人に読んでもらうための文章を書いているのだから、読んでもらえなければどうしようもない。だから少なくとも、最初の数行を読んで止められたら、それは書き手にとって恥と知るべきではなかろうか? そこのところをよくわきまえて、出だしの工夫をするべきである。

▼漱石の場合、もちろん例外はあるが、短文を重ねて行くのでリズムが良いか
ら、ついつい先を急ぎたくなる。『猫』にしても、「吾輩は猫である。名前はまだ無い」に続いて、「どこで生まれたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いて居た事丈ば記憶して居る」と短い文を重ねることでテンポよく物語が始まり、掉尾はノラがビールを飲んで水死するという、この大傑作の導入部としている。

▼『草枕』は、「山道を登りながらかう考えた」で始るから、読者は「どう、どう、どう考えたん?」と、ツッコミを入れたくなる。すると、「智に働けば角が立つ」と来る。「そうなんよ。私の場合も知性を前面に押し出すと、どうも周りがシラケるのよねえ。もっと人間の情の部分に訴えたほうがいいのかも」などと考える。そこへ漱石は、でもさ「情に棹させば流される」ねんで、と畳み掛けてくる。「そうか、知性も情も度を過ぎるとアカンねんなあ。でも、私にも意地というものがあるしなあ……」と思っていると、「意地を通せば窮屈だ」と来る。そして、「兎角人の世は住みにくい」である。思わず、「そう、そう、そう」と膝を打ってしまう。教訓。導入部の文章は、「短く、畳みかけるように」というのがよさそうだ。
     

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