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☆ オバチャマは市民ライター
                                   オバチャマ
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    (31) 「置き薬」がんばれ!負けないで!                  
                               2009年2月20日
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母子健康手帳がアジア・アフリカ各国で広がっている。なんだか嬉しい。こんな国際貢献はいいなあと思っていたらもうひとつあった。それが「置き薬」。

日本では、ドラッグストアやネットでも手軽に薬を手にできるから、この富山発祥、300年の歴史をもつ「置き薬」(配置薬)を知らない人もいるだろう。オバチャマは今もお世話になっている。手軽で安心安全でリーズナブルなのがいい。胃腸薬や風邪薬、オキシフルや虫刺され軟膏、湿布薬に目薬などなど、家庭の常備薬と思われるものがプラスチックの薬箱にコンパクトに入っている。一番の特長は先用後利。使った分だけ後で払えばいいのだ。定期的に担当の薬の販売員が来て取り替えてくれるから、消費期限も心配ない。発熱やちょっとした怪我、風邪や体調不良なんか心配ご無用。もしもの安心。日本独自のとっても便利なシステムなのだ。

世界へのはじまりはモンゴル。平成13年、モンゴル政府から日本財団に医療援助の要請があった。モンゴルは人口約250万人の35パーセントに当たる90万人が、草原に暮らす遊牧民。病気になっても都市部の医療機関が遠い。現金収入は家畜の毛と肉を売る春と秋の年2回で、薬が手に入らず命を落とすケースもある。モンゴル版「越中富山の薬箱」には風邪や頭痛などに効くモンゴルの伝統薬が12種類。今も、毎年モンゴルから研修団が富山に来る。配置薬システムのおかげでドクターコールも少なくなった。病気が軽い段階で薬を飲むため、症状が重くならず、手遅れというケースも減少した。まずは手持ちの薬で様子を見て、次に医師にかかるという考え方が浸透してきたそうだ。富山のシステムは不十分なモンゴルの医療サービスを支えてくれるとよろこばれている。

それからタイ。2007年にモンゴルの「置き薬システム」を活用した伝統医療普及事業が各国に紹介され、タイ保健省が注目した。医薬品はいずれもタイに自生する薬草などから作られた伝統医薬品。「効果は穏やかだが、副作用が少なく安心して使える利点がある」というのだ。医療費無料のタイでは、医療費増加が財政を圧迫している。伝承薬は安価だし、初期治療がすすめば医療費の削減もできる。今後2年間1200万世帯で実施してから全国導入を決めるそうだ。

さらに、サイクロンで被害を受けたミャンマー全土に「置き薬」が配布される。医療事情の悪いミャンマーで、全国7000村に地元発祥の薬草を使った「置き薬」を配布し、安全・低コストで国民の健康保持を狙う。薬箱には痛みや下痢、せきなどを止める薬草カプセルや解熱剤などが入る。年内に2000村で配布を始め、2011年までに全土で薬箱の配布を完了する。

凄いと思わない?これが日本の国際貢献だよって誇れるよね。日本をはじめ世界32カ国が加盟するWHO(世界保健機構1948年に設立)で、ちなみに日本は米国に次ぐ分担金を拠出している。いままで、お金は出しても感謝されない、存在感のない日本だったもの。ハッキリ言って悲しかった。

でも、元祖日本では、薬事法の改正もあって苛められてばかり、衰退の一途を辿っている。ドラッグストアに押されているところに、2009年度からコンビニなど薬局以外でも医薬品が販売できるように制度が変わるのだ。打撃は大きい。300年続いた家業を諦め廃業するひとも出てきている。もう日本では「置き薬」の価値はないというのだろうか。オバチャマはそうは思わない。現代に合わなくなっている点は確かにある。それを真摯に見つめ改革すれば、活路はみえる。

いまや日本は格差社会。オバチャマは、この「置き薬」を国庫負担で全世帯に設置してはどうかと思っている。いつも手元にあって無料なら初期に服用するひとも多いと思う。重病になるのを防ぐということは、救急車の出動も抑えられ、高額な医療費の掛る緊急医療も減少する。「置き薬」は無料にして国庫負担っていう方が、医療費削減になるんじゃないかな。それに、最低限の医療援助を経済格差に無関係に受けることができるのは、国民の当然の権利ともいえる。外国人労働者に対してもホームレスに対しても、各地域ごとに置き薬を設置し、初期治療を重視する。安価で副作用の少ない伝承薬だからできること。しかも先用後利の後払いだから、無駄な出費はない。

24時間体制で医療関係者、薬剤師、退職医師、看護師などを配備し、電話相談を可能にするのもいい。少子高齢化がすすめば、孤立している独居家庭や母子家庭、父子家庭は、今後もっと増えるだろう。「置き薬」と相談先のお陰で、不安からずいぶん解放されると思う。その上、定期交換という「置き薬」独特の制度は、安否の確認という面ももっている。特に独居老人、老老介護世帯などでは、何か月も死さえわからなかったなんてことがある。あんまりでしょう。孤立しているひとにとって、誰かが来てくれるというのは心強いもの。昔は郵便局員がその一端を担っていたかもしれないけど、民営化が進んでそんな余裕はないし、宅配は、そんな孤立した世帯に行く用事がない。

医療大国日本は、高度で過度な医療を追いかけるあまり、医療とは何かという本質を見失い、国の医療費負担はウナギ登り。日本の伝承薬を見直し、安価で副作用の少ない薬を常備薬として総ての国民に届けることは、いまの不況下だからこそ必要なことではないのかしらねえ。全国を「置き薬」で網羅することは、そんなに難しいことではないと思う。金銭的にも人員的にもシステム的にも。
がんばれ!「置き薬」さん。オバチャマは応援します。負けないで!最先端医療だけが人を幸せにできるわけじゃないの。


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